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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い
しばらくして
涙が少し落ち着いても
コータは
ただ黙ったまま
俺の隣に座っていた
コータが
どんな顔をしているのか
見ることもできなかったけど
ただ静かに
俺を
待ってくれていた
しばらくすると
コータはコーヒーを注文し
俺に熱いコーヒーを
渡してくれた
「ありがとな」
「他のが良かったですかね。
コーヒーなんか飲んだら
また眠れないかも」
「いや、いいよ。
なんでかわかんねーけど
寝るのが
もったいない気がしてきた。
なぁ、コータ」
「はい」
「どうして
俺なんかに
付き合ってくれたんだ?
俺と話したこともないだろ?」
「話したことはないけど
俺は何度も見てましたから
翔輝さんのこと」
「そう…なのか?」
「はい。
多分…翔輝さんが
向井さんと初めて会った日も
俺…見てました」
「え?」
「もう少し
俺が勇気だしてれば
翔輝さんのこと
向井さんに持ってかれなかったのにって
後悔してるんです」
「ど、どーゆーことだよ」
「翔輝さんが
路上で怯えてて
向井さんに声かけられた時
俺も声かけようとしてたんです。
でも、俺歳下だし
なんか…勇気だせなくて
そしたら
向井さんが
話しかけて…
連れて行かれました」
「(苦笑)
そうだったのか…。
恥ずかしいな。
あ、けど
俺は連れてかれてねーよ。
連れてかれそうに
なったけど
向井さんは…
あのまま帰ったんだ」
あの日
連れて帰ってくれてたら
どうなってたんだろう…
「え?そうなんですか?
僕、てっきり…」
「向井さんとは
なにもないんだ。
俺が勝手に
追っかけてただけ。
だから…
そもそも
こんなに悲しむのも
おかしな話なんだ。
勝手に…好きだっただけで…」