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ヒロイン三国ファンタジー
第17章 17 新しい時代
蜀の劉備玄徳が亡くなり、魏では機嫌を良くした文帝・曹丕が祝宴を開く。曹操が亡くなり、献帝を廃し、己が皇帝となった今、魏国にたいして一番の脅威であった蜀の、母の宿敵であった劉備が死んだのだ。
文帝は祝宴から自室へ戻ってきても安堵した表情で郭氏の肩を抱く。
「大きな憂いが取り除かれた今、やっと内政を整えられるというものだ」
「ええ、ですが……」
「ん? どうした。言いたいことがあるのなら朕にはっきり申してみよ」
「弟君の曹植さまと甄氏とのことなのです」
「なんだ、その二人がどうしたのだ」
「その、曹植さまがよく贈り物をなさって人目をはばからず一緒に詩を吟じていると……」
「人目をはばかっておらぬなら、それは怪しむものではないだろう」
「そう、ですが……。魏王は曹植さまをかわいがっておられましたし、重臣の中にも……」
「! そちは何を言いたい! いい加減にせよ! 父王は曹植の文才を愛でておったのだ。あやつを跡取りにという話ではない!」
「すみません。お許しを!」
「良い気分が台無しだ。今宵は甄氏の元へ行く!」
「ああ、陛下……」
文帝はすっかり酔いがさめた様子で郭氏のもとを去り甄氏の元へ向かう。宦官たちは慌てて車を支度し、甄氏のほうにも知らせに慌てて走る。
周囲の慌ただしい中、静けさを身に纏う氷のような美女、甄氏が出迎える。
彼女は元々、三公を輩出した名家・袁家の袁紹の次男、袁熙の妻であった。曹操が冀州を攻めたさい、曹丕は袁紹の屋敷に残されていた甄氏を見初める。その時にまだ彼女の夫である袁煕は生きていたが、抗うことも出来ず曹丕に娶られることとなった。
文帝は祝宴から自室へ戻ってきても安堵した表情で郭氏の肩を抱く。
「大きな憂いが取り除かれた今、やっと内政を整えられるというものだ」
「ええ、ですが……」
「ん? どうした。言いたいことがあるのなら朕にはっきり申してみよ」
「弟君の曹植さまと甄氏とのことなのです」
「なんだ、その二人がどうしたのだ」
「その、曹植さまがよく贈り物をなさって人目をはばからず一緒に詩を吟じていると……」
「人目をはばかっておらぬなら、それは怪しむものではないだろう」
「そう、ですが……。魏王は曹植さまをかわいがっておられましたし、重臣の中にも……」
「! そちは何を言いたい! いい加減にせよ! 父王は曹植の文才を愛でておったのだ。あやつを跡取りにという話ではない!」
「すみません。お許しを!」
「良い気分が台無しだ。今宵は甄氏の元へ行く!」
「ああ、陛下……」
文帝はすっかり酔いがさめた様子で郭氏のもとを去り甄氏の元へ向かう。宦官たちは慌てて車を支度し、甄氏のほうにも知らせに慌てて走る。
周囲の慌ただしい中、静けさを身に纏う氷のような美女、甄氏が出迎える。
彼女は元々、三公を輩出した名家・袁家の袁紹の次男、袁熙の妻であった。曹操が冀州を攻めたさい、曹丕は袁紹の屋敷に残されていた甄氏を見初める。その時にまだ彼女の夫である袁煕は生きていたが、抗うことも出来ず曹丕に娶られることとなった。