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ヒロイン三国ファンタジー
第6章 6 中原逐鹿
 曹操は許都に到着した玄徳を早速呼びつけ献帝に目通りをさせる。陣営以外の場所の曹操は物々しい朝服を着込み神妙な面持ちを見せる。
玄徳も初めて参内するための朝服を二人の夫人が用意してくれていたので、改めて妻という存在に感謝をする。
老いた母も玄徳を息子と思っているので夫人たちを本当の娘のように可愛がっていた。

曹操の後ろに三歩ほど下がったところで玄徳もひれ伏し献帝を待った。
冕(べん)の玉スダレがシャラシャラと鳴り、献帝が玉座に座ると「おもてをあげよ」と声がかかった。

「その者は?」
「こちらが劉備でございます。さあ、劉備殿」
「劉備にございます」

「おおっ! そちが劉備か! 話は聞いておる! そなたは我が同胞。ああ、これからは皇叔(こうしゅく)と呼ぼう」
「なんという有り難きお言葉、この劉備、骨身を砕く思いでお仕えいたします」

 曹操はここまで献帝が玄徳に親しみを露わにすることに気に食わない思いを抱いき、更に玄徳を油断のならぬ奴と見張り続けることにした。

「さて、陛下、劉備どもの参ったことですし狩りにでも出かけましょう」
「おお! 狩りか! 良いな! さあ、行こう行こう。支度をせよ」

無邪気に献帝は唐突な曹操の提案にためらうことなく従い喜んで支度をしに下がった。
玄徳はこの二人の気安さに不安を覚える。

「さて、我々もこのような重たい朝服を脱いで狩りに参りましょう」
「は、はい」

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