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人魚島
第9章 枝分かれの現実
廊下を突っ切り明さん達と合流する。
明さんはアルコールですっかり出来上がっており、上機嫌で饒舌に漁師の事を語っていた。

『帰るか、話はあの青い髪の毛のあんちゃんと済んだのか?』

明さんがFerragamoの長財布をジーンズの後ろポケットから取り出しながらランドクルーザーの鍵を誠さんに手渡す。
まさか本当に誠さんに運転させる気らしい。
そして誠さん、春香さん、咲子がそれぞれ立ち上がる。

『帰ったら風呂だ、花子の奴が綺麗に掃除してくれたからよ、坊主、一番風呂に入れ』

『すみません、ありがとうございます』

頭を下げながらウオトに『またね』と手を振るう。
ウオトは微笑みながら頷いていた。
ウオトと別れて駐車場にて誠さんが『俺、ランドクルーザーなんか初めて運転するわ』と運転席に乗り込む。
ドキドキしながら魚沼家を目指し帰宅し、風呂に入れば花子が『ハルくん』と風呂場にやって来た。

『一緒に入っても良いかな?』

花子がバスタオルを巻いた身体を僕の身体に擦り寄せた。

『構わ無いけど、大丈夫かな?』

『何が?』

『明さんや咲子なんにも言って来なかった?』

花子が肩に湯を掛けながら『大丈夫だよ』と笑い湯船に浸かる。
そして僕の肩を揉みながら『明日も行くの?』と笑みを消して訊ねて来る。
僕は『そうだね』と頷く。
力無く笑う僕の肩を揉みながら『少しを休んだら?』と不安げに呟く。

『けど、ウオトが言うには精神的ショックが行き来の条件なら、どうして今日はあの例の公園では移動出来たんやろね?』

『多分だけど、花子と二人切りだったのが精神的ショックたったのかな?』

『え?どう言う意味?失礼だなぁ』

『いや、ちょっと興奮…したから』

『興奮?』

『うん、花子アイス珈琲飲んでただろ?』

『うん、それが?』

『ちょっと興奮したからさ』

『えぇッ?』

『喉がこうさ、上下してて色気感じたよ』

僕は振り返り花子を見据えた。
花子の唇はウルウル潤んでいた。
色気を感じた。
途端抱き付いて来る花子を抱き締めた。
花子、待ってろよ、今に顔をくれてやるからな。
僕は花子を抱き締めながら強く強く誓った。
不意に天井から雫がポチャンと湯船に落下した。
途端勃起する僕に『エッチだなぁ、頭洗お』と笑いながら湯船から出る花子。
僕はクラクラしながら湯船から出て頭を洗った。
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