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いつくしみ深き
第1章 いつくしみ深き

結婚式当日の土曜日は、梅雨の時期ながらも綺麗に晴れていた。祐希は式の準備のため、早朝から響の病棟を訪れた。響の負担にならないよう、会場設営などすべての準備が整うまで、響の病室には顔を出さないと決めていた。
すべての準備が整い、後は二人の身支度だけになった。祐希は衣装の入った大きな紙袋を抱えて響の病室をノックした。
「よう、響」
「祐希」
「これ、お前の服な。レンタルで悪いけど」
「十分だよ。……祐希とお揃い?」
「ああ」
「よかった。ウェディングドレスだったらどうしようって心配してたんだ」
「いくらお前が女顔だからって、んな訳あるかよ」
祐希は笑って響の着替えを手伝った。病状の進んだ響には、一人で衣装に着替えることはすでに不可能だった。骨の浮いた胸に、こっそりと目を逸らす。
「すごく久しぶりに普通の服を着る気がする」
「ずっと病衣だったもんな」
「うん。病衣は着替えも楽だしいいんだけど、あれを着てると何だか病人になった気がするんだよね」
「れっきとした病人だろうが」
「まあね」
すべての準備が整い、後は二人の身支度だけになった。祐希は衣装の入った大きな紙袋を抱えて響の病室をノックした。
「よう、響」
「祐希」
「これ、お前の服な。レンタルで悪いけど」
「十分だよ。……祐希とお揃い?」
「ああ」
「よかった。ウェディングドレスだったらどうしようって心配してたんだ」
「いくらお前が女顔だからって、んな訳あるかよ」
祐希は笑って響の着替えを手伝った。病状の進んだ響には、一人で衣装に着替えることはすでに不可能だった。骨の浮いた胸に、こっそりと目を逸らす。
「すごく久しぶりに普通の服を着る気がする」
「ずっと病衣だったもんな」
「うん。病衣は着替えも楽だしいいんだけど、あれを着てると何だか病人になった気がするんだよね」
「れっきとした病人だろうが」
「まあね」

