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あなたの背中
第4章 夏の終わりの
「 いやーーーッ…… え?」
予想外の光景に、固まってしまう私。
ハル君は先ほどとは違うTシャツを着ており、さっきまで着ていたTシャツは彼の右手にあった。
「 えっ…着替えたの?はやくない? 」
「 Tシャツ2枚着てたからね 」
「 え?うそ?ほんと?」
「 本当!だから、こっち汗着いてないしイケるっしょ 」
確かに右手に持っていたTシャツは綺麗なままで、今ハル君が着ている方は若干汗が滲んでいた。
「 ま、おれ和泉んちに着替えあるし大丈夫!」
「 それより俺が貸すのがよくないか? 」
そう口を開いたのは和泉だった。
普段あまり自分から口を開かないタイプなので、ここで申告してきた姿に驚いた。
「 あっ…私これで大丈夫!また汚しちゃうかもしれないしさ… 」
慌ててハルくんの持っていたTシャツを指差す。
あまり気を使わせたくなかったから、というのが本心で。
「 また汚したら弁償だかんなー 」
ハル君が半笑いのまま私に視線を向ける。
よくよく見るとそれなりに良いブランド物を着ていた。
「 あっ……汚しません…気をつけます 」
「 よしよし、それでいいぞ 」
私がブランド物だと気付いたことを見抜いたのか、ニヤニヤと深い笑みをこぼすハル君はまるで、男子小学生のような悪戯好きのように見えた。