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Leverage Effect〔レバレッジ イフェクト〕
第2章 罠 ─仕掛ける─

それはまた、自信と信頼に裏付けされたプライドの高さをも表わしていた。

その上、隙のない身のこなし、端的な言葉。

美麗だが、出来過ぎて近寄りがたい印象。

その肌に人間らしい温かみを感じることは出来ない。

 
──お堅いエリートサラリーマン、どうせ今まで挫折したことも無いのだろう。こんな奴を堕としたら、さぞかし胸が空くに違いない。
 

初めて澁谷を見たときの印象だ。

外務員のひとりとして西沢は、店頭で接客する澁谷を無意識のうちに見詰めてしまうことがあった。

吸い付くような白い肌は、匂いたつ色気を漂わせる。
思わず細い首筋に歯を立てたくなる。

平生は滅多にお目にかかれない微笑みも、客相手なら偶に伺うことが出来た。
その甘い微笑は、誘うようにも見える。
 
──一体こいつはどんな声で啼くんだろう…

こういう奴に限って感度が上々だったりするものだが。

 
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