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第1章 狩猟 ─ 犯す─

あんな大胆な相場を張る澁谷(しぶや)の軆(からだ)がこんなに繊細だと知ったのは、つい最近のことだ。

それまでは単なる口封じの為の取引に過ぎなかったセックス。

どんなに激しく揺さぶっても、必死に声を噛んで自分を抑えつけてきた澁谷。

まるで、軆全体で快感を拒絶するかのように。

そして、陵辱の嵐が過ぎ去った後は、速攻で目の前の事実を視界の外に押いやった。

冷たい瞳にいつも通りの蔭を宿して──
　
それがここへきて急に自分を晒すようになったのは、或る意味諦めをつけたということか。

どんなに自分を厳しく律したところで、一皮剥けば所詮同じ人間なのだ。

繰り返される官能的な刺激にいつまでも堪えられる筈がない。禁欲的な己の姿は、却って相手を煽ることにしかならないということを漸く自覚したということなのか。