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第30章 バイトの王子様

「お前はバイト二つやるようになってるが自分で希望したって？」

「したよ…できる機会があるなら知りたいしね。何より役作りにも役立つじゃん」

「いえてるな」

そう、世の中知ってて損することはどこにもない──

善も悪も

知ってれは行えるし未然にも防げる──

世の中無知ってことほど罪なことはない……

本や話しでの見聞きは出来ても経験に勝る知恵はないわけだから──

なんなら雑学王くらいにでもなってやる。

そう思いながら脳裏にはあの時のことが掠めていく。

“…聞くからっ…バイトでもなんでも嫌なことあったら俺に先に言えばいいだろ!?その為に俺、傍にいるじゃんっ…俺って頼りないっ!?”

“──ないっ”


“……っ──”


“夏希ちゃんまだまだ子供じゃんっ！夏希ちゃんじゃわかんないこと一般人には沢山あるのっ…”


「………」

もう二度と──

晶さんに頼りないなんて、言われたくはない──

これは俺の小さな意地でもあった……。