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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第35章 予測不能のシナリオ

マンションに帰る途中のタクシーの中、晶さんを送った楠木さんから連絡が入る。

晶さんの様子を訊ねると楠木さんは受話器口でも長い溜め息を返してきた。

「何を言っても終始無言。ものすごい思い詰めた顔してたぞ……」

「……っ…」

恐ろしい言葉を聞かされた気がした……。

「とにかく、次の撮影に支障がないように──…」

「………」

「なんとか上手くやってくれよ」

「…っ…わかりました…」

言葉を溜めて口にした楠木さんに、俺も畏まった返事しか返せなかった。

通話を済ませた携帯電話を見つめる。

「──……っ…すごく思い詰めた…って…」

いったい何を思い詰めたんだよっ!?

やっぱり恐いっ…

家に戻るのに気が退けるっ
いっそのこと今夜はカプセルホテルに泊まっちゃうか?

いやいや、それじゃまるで鬼嫁に隠し事がバレた腰抜け旦那みたいじゃんっ…

ああーっ…どうすっかなぁっ……

後部座席で尚も頭を抱えて悶絶する俺を、タクシーの運ちゃんがミラーでチラチラ覗き見る。

「何か仕事で問題でも?」

「いやっ…仕事の問題なら簡単に解決するんだけどっ…」

悩む客に気休めの会話を投げ掛けてくる。どうにもならない表情を見せた俺にタクシーの運ちゃんはその後、無言を貫き通した……。
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