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第18章 水心あれば魚心

多田くんｓａｉｄ


え？
俺が濡れてるの・・・気にしてくれてんの？
マジ、天使なんだけど。
俺なんて濡れてもいいんだけど？

俺なんかより君が濡れてた事しか頭になかったからさぁ？
君が俺の心配してくれてるなんてさぁ？

ちょっ・・・
マジで・・・
嬉しすぎて堪んねぇわ・・・

俺はさ？
俺のプレゼントがしたくてした訳だし？
俺の買った物を君が着てくれただけで嬉しい訳だし？
俺はそれで・・・君が温かくなってくれたら・・・良かったんだ

ちょっ・・・
待って！！
「あの店ですよね？」
とかって、走って行かないで！！
そして、止める間もなく呆然とした俺に・・・

黄色い・・・
俺が・・・
君に渡した・・・
シャツの・・・
メンズサイズの・・・

・・・を、持って俺の前でニコニコしてる
天使な君

なんで？俺がそこまで理解ったのかって？
だって拡げてるんだもん

（買ってきました！！）
（褒めてください！！）

って・・・
お揃いの黄色のＴシャツを持った彼女がさ・・・
自信満々な顔で・・・
私！！買ってきたんですよ！！
って・・・

・・・うん
新手の意趣返しかな？
とも思うけどね？

ははっ・・・

何でもいいや。
嬉しいしくて堪んないし？
お揃いなんてまさにカップルみたいじゃん？

「ありがと」

受け取った俺に彼女の笑顔

似合うかな？
似合ったらいいなって思う

バカップルに思われるかな？
バカップルに思われたいなって思う

この場所限定だけなんだとしても・・・

君と俺は・・・
彼氏と彼女でさ？
イチャイチャしてさ？
俺は君の彼氏でさ・・・？
そんな事を思っていいかな？

「・・・どうかな？」

トイレで濡れたＴシャツを着替えて彼女の前へと立った
恥ずかしさは隠しきれない
さっきまでの彼女の気持ちが理解る

「す、す、すてき・・・です」

「・・・ミニオンです」

さっきの彼女の言葉を真似た
俺はオーバーオールではないけれど
お揃いの言葉に期待してしまった俺
ウケなかったら・・・いっそ・・・死刑にでもしてくれたらいいよ

「ミニオン・・・カップル・・・みたいですね」

かっぷる！！
君と俺が？
想像以上の返事が嬉しくて・・・
真っ赤になってる君が嬉しくて・・・

「うん・・・」

って・・・
言ってしまった
こっそり自分の手のひらをつねった
うん。ちゃんと痛い