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第19章 月に叢雲花に風

「先輩・・・用事終わったかな？家・・・行こっかな？」

ついポロっと出た俺の本音の弱気

ついだよ？
やべ・・・
出ちゃってた・・・かもしんない

だってさ？
先輩だったらさ？
その・・・元刑事だし？
弱ってる一般市民の男子高校生の愚痴とか聞いてくれそうだし？
俺の事、虐めてくるけど・・・
良い男だってのは・・・その・・・認めてやらなくもなくて？
思春期の俺の悩みを・・・その・・・
聞いてくれそうじゃん？
俺より経験豊富でさ？
俺より
（当たり前だけど）
カッコよくてさ？
俺より・・・
俺より・・・
大人で・・・大人で・・・
元刑事じゃん

・・・俺の弱気の本音の下心
解決してくれるなら誰でもいいよ

・・・普通じゃないのかな？
・・・伊織の事
・・・付き合えて嬉しいと思ってた
・・・伊織の事、付き合って完結だった
・・・伊織が俺の彼女で満足だった

・・・彼氏になって嬉しかった・・・です。

・・・彼氏のその先
・・・幼馴染のその先

求めてしまう

・・・求めてしまう

・・・
・・・
・・・求めてごめん。

ごめんな？


謝るよ。
伊織？
好きだよ。





「直哉？」

ハッとした
ここはファミレス
多田と・・・その彼女
伊織も居る

心配そうな伊織
可愛い伊織
俺の顔を覗きこんで上目遣い

・・・可愛い

・・・空気・・・よまなきゃ・・・だろ？俺？
場所とか多田カップルの事とか考えろって
伊織に対して
多田に対して
空気とか・・・そんなん読めねぇもん

伊織とイチャイチャしまくりたいだけだもん

先輩はさ？
そんな欲望・・・
大人だからさ？
抑えれる？

ハハハッ
俺・・・無理・・・すっわ
無理・・・なんですよ。

伊織が可愛くて・・・可愛くて・・・
な、俺で・・・ヤバいな

「直哉。大丈夫？」

伊織・・・
俺の心配？
してくれてんの？

ありがと。
優しいな。
好きだよ。

俺だって
俺だって
男。
男なんですよ？
男だって知って欲しい
イチャイチャしてぇ・・・
伊織と。
やりてぇ・・・
伊織と・・・

こんな俺・・・
嫌いになる？
嫌いになんないで
好きなんだよ？
好きなんだ。
伊織の全てが・・・

「多田？信・・・さんのさ？連絡先聞いていい？」

先輩に訊くには俺のプライドが良しとはしなくてさ。
ってかさ？
やっぱ先輩に訊くにはハードル高ぇよ