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第19章 月に叢雲花に風

「「直哉！！」」

やべ・・・俺・・・
頭ン中で現実逃避しすぎてた
伊織と多田が焦って俺を呼ぶ声にハッとした

「良かったじゃん！！多田！！おめでと！！」

やっと言いたかった言葉を発してホッとする俺
喜んであげたかった
だって・・・
多田が・・・あの多田がさ？
彼女だよ？

俺、危うく先輩が好きなアッチ系な感じなのかとかも思ったりもしてたんだぜ？
まぁ・・・多田が例え、ＢとＬな感じだったとしても友情は変わらないって思ってたけど？

「ありがと」

多田・・・
お前って・・・素直で、真っすぐで・・・本当にいいヤツ
それなのに・・・
俺って・・・
しょうもない・・・スケベで・・・伊織と卑猥な事しか考えれない・・・

ある意味健全な男子高校生でごめんな

嫌んなるわ～～
マジ自己嫌悪

俺の周り良い男いすぎじゃね？
俺ってこんなしょうもなかったのかな？
って・・・
思ってしまうわ・・・

あ・・・
あの人・・・
あの人は・・・なんか俺と同じ匂いがしたな
誰だっけな？
えっと・・・
そうそう！！
先輩の連れで・・・多田に強引な感じの人！！
名前は・・・なんだっけな？
たしか、「しん」って呼ばれてたっけ？

・・・「しん」さんの顔や表情を思い出してみた
・・・俺と似てるか？
・・・やめてよ
・・・似てるとかやだ
・・・失礼かもしんないけど・・・
・・・なんかやだ

でも・・・彼女さん居るんだもんなぁ・・・
きっと俺よりはマシなんだろうなぁ・・・

だって刑事って言ってたし？
先輩の後輩だし？
なんだかんだ良い男なんだろうし？

あぁ！！
クソッ！！

俺だけが上手く行ってない
俺だけがヘタレ
俺だけが・・・
俺だけが・・・


「直哉？どうしたの？」

可愛い伊織が俺に話しかける
首を傾げて上目遣いで

「・・・なんでもないよ」

どうか・・・俺の心の中がばれません様に
可愛い伊織にこんな卑猥な妄想をしてんの・・・ばれません様に・・・
お願いします
神様いるなら・・・

伊織とイチャイチャしたい俺の願いを叶えてくれるかな？
可愛い伊織を滅茶苦茶にしたい俺を・・・
どうか・・・どうか・・・
許して下さい・・・
キスの・・・その先・・・もっと、もっと・・・
目の前に居る伊織としたい

好きだよ。
伊織が。
大好きだよ。
伊織が。
堪らなく愛おしいって・・・俺の心が叫んで仕方ない