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第2章 神を信じた男

　心理学者はもう一度頭を抱える。

　少年らしい純粋な心を大人になって身に付けたマナーやモラルの中に押し隠して生活するのは辛かった。

　少年の純粋さは大人にとって残酷、もしくは異常と見られることがある。ましてそれが大人ならば尚更に。

　人は死んだらどうなる？　痛い時苦しい時はどんな反応をする？
　では死ぬ直前は？　肌を切られると血がどんなふうに噴き出すか？　生きたまま焼かれるとどうなるのか？

　心理学者はその危険な純粋さを失うことなく持ち続けていた。

　それがあまりに苦しかったのでひとつのサンプルパターンとしてシミュレーター世界の男を使って実験をしてみた。

　結果は暗澹としたものだった。

　その結果に心理学者は絶望した。自分の中にある危険な純粋さがもう抑えきれなくなりそうだ。

　欲望のままに少年の純粋な疑問を解決するために行動出来たら…

　彼は自分が正気と狂気のボーダーラインの上に立っているのを十分に理解している。