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わざとの嫉妬、それからの・・・
第2章 前段階 第一弾
ほのかに流されているクラッシックの静かなBGMにブルー系の抑えた照明。

漂う落ち着いた雰囲気の初めて入る店の中に木戸はまだ不安を持っているが、その大部分はもう店のこと云々ではなくて、前もってこの場所で落ち合うことにしていた飯島亜紀子が来ているかどうかと言うことだった。

「入り口から入って右側奥のテーブル、そこにいるわよ」と前もって言われていた場所に果たせるかな亜紀子は確かに男といた。

(あれが噂の彼氏か)とこちらに背を向けて座っている白髪混じりの男を値踏みするように見た。

バツイチで会社役員をしていると言う五十代の男の後姿は、それらしく落ち着きと仕事が‘できる’雰囲気を醸し出している。

それを感じても敢えてこの男に負けたとは思わないが、同じく離婚経験者で独身女である熟女・飯島亜紀子の男選びのセンスはさすがだなと思った。

その肝心な飯島亜紀子はこちら向きに座っているから、距離があいていても目と目が合った。
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