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わざとの嫉妬、それからの・・・
第10章 欲情する尾行
女の目は思いのほか冷静で、それを見て男も自分に落ち着けと言い聞かせ、勤めて普通を装ったが、土井にはどう答えていいのかが分からなかった。

そんな動揺している男の横で、飯島亜紀子は「あら、どうしてそんな風に?」と極めて平常で土井に聞いた。

「前の時もそうでしたけど、今も後ろから二人の事を見ていたらとっても仲が良さそうで、そう、まるで夫婦のようでしたから」

「そんな風に見えてたの?だって木戸君」

こちらに振られた男は、「ぅ、うん」となんとも曖昧な態度しかできずにハイボールを飲んでごまかしに掛かると、それを女は年上のお姉さんらしく「フフフ」と笑った。

それから土井の方を再び見ると、「そうよ」と短い言葉でハッキリと肯定をした。
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