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君を孕ませたい
第8章 寂しさの中で思うこと
休暇最終日、結局翼さんが帰宅したのは日付が変わってからで、
私は少しの不安を抱きながら一人ベッドで横になっていた。



玄関から真っ先に私の部屋に来てくれたのが、
微かに聞こえる物音で推察できた。



そおっと私の部屋の扉を開け、
私が眠る姿を確認すると頬に短く口付けをして部屋を出て行った。



私は何故だか声を掛ける言葉が見つからず
目を瞑ったままやり過ごしてしまった。



次の朝目覚めるともう8時を過ぎていて翼さんは家を出た後だった。



幼い頃から留守番なんて慣れているのに
休暇中、ずっと一緒にいてくれたから
この広い家に一人取り残された気がして寂しさが込み上げて来た。



その寂しさを紛らわすように
頼まれてもいないのに掃除をしたり
近くを散策してみたり
あと少しで始まる学校の準備をしてみたり
平山のおじいさまに会いに行ったりもした。



「忙しくなる」
翼さんがそう言った通り、
帰宅するのは夜も遅い時間で、
一緒にご飯を食べたり
お風呂を共にすることは叶わなかった。



それを残念がる私は翼さんに惹かれ始めているのだろうと
自認するほどには一人の時間がとても長く寂しいものに思えた。



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