この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
幸せになれる恋
第31章 聖を襲う病魔
父は冷静なようでも焦っていて新聞がぐちゃぐちゃ
母は嘘っ...と戸惑いを隠せない。
そして聖はいちばん知られたくなかった桜を見て
さらに心が痛くなった。
目に涙をたくさん浮かべながら
それでも頬を伝う涙を手の甲で拭き取り
聖の話を聞こうとしている。
流石の聖も誤魔化せないから話すことにした。
「過労で倒れた時の血液検査で
気になることがあったらしく採血をやり直して
腫瘍マーカーの結果が出た。
陽性だったって。
初期は血液検査で見つかりにくいから
それなりに進んでいるかもしれない。
明日詳しく調べてくる。」
淡々と話す聖を見て桜は立ち上がり
聖の隣に立つと右手で力を込めて頬を叩いた。
「って…!!」
「何考えてるんですか?!
どうしてそんな大事なこと
ちゃんと話してくれなかったんですか!!」
怒っている桜を母は手を掴んで止めに入る。
知らなかったの?と聞かれて黙って頷く。
「ちゃんと調べてから話すつもりだった。
悪かった...
明日検査で早いから寝るわ。」
残っていた食後のコーヒーを飲み干し
聖は部屋に上がってしまった…
残された家族はみんな静かだった。