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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第16章 第五話【梔花哀憐~くちなしの花咲く、その朝に~】
「赤児が泣いております」


 若い女中から事の次第を聞いた夫人は慌てて門前に赴いた。言葉どおり、門前に一人の赤児がうち捨てられていた。


「まあまあ、可哀想に」



 粗末なおくるみにくるまれた赤児は、どう見ても裕福な家の子には見えなかった。そもそも富裕な親であれば、折角授かった子を棄てたりはしないだろう。
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