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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第16章 第五話【梔花哀憐~くちなしの花咲く、その朝に~】
 ジュンスクは立ち上がり、部屋の両開きの戸を開けた。初夏の涼やかな夜気が部屋に流れ込んでくる。






 庭の片隅にひっそり咲く梔子(くちなし)の白い花が夜陰に浮かび上がっていた。ほのかに夜気に花の香りが混じっているのは、梔子のせいなのかもしれない。ぼんやりと花を見つめていた彼の耳を夫人の声が打った。
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