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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第23章 落城の夜
これからは死ぬことではなく、生きることを真っ先に考えよう。大切な祖国と家族、夏陽の民を戦禍に巻き込み滅亡に追いやった憎き高麗王をいつの日か、この手で殺してやるために。
フィメリアは思わず感嘆の声を上げた。刻一刻と移り変わりゆく砂漠の空はいつ見ても美しいが、今朝の夜明けはまた格別であった。白んだ空が次第に朱(あけ)の色に染まってゆく。砂漠で生まれて十六年間生きてきて、今朝のように見事な夜明けを見たのは初めてだ。