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第27章 高麗の夜明け

　見つめる王女の瞳には涙が滲んでいた。年が明けて十六歳になったとはいえ、まだまだ外見よりは幼く見える王女である。丞相の息子の住まいは王城からさほど離れてはいないが、十六年間住み慣れた王城を出て貴族の家に嫁ぐのは勇気の要ることなのだ。






　王女から嫁ぐ際に持参したいから、兄と母の姿絵を描いて欲しいと頼まれたのは一ヶ月前のことだ。今日は仕上がったその姿絵を持参していた。