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第5章 優しい日々

　話は少し前に遡るが、それだけ薬学には造詣の深いジュチでさえ、前王に新王（陽寧君）が献上した薬湯と王が常用していた薬の飲み合わせが毒となり得るとは予見できなかった。それほどの稀少な薬を反元派の重臣は元からひそかに入手していたのだ。実際、その薬は元国内ですら、あまり出回っていない高価な薬であるという。






　裏山に薬草がたくさん自生しているのを知った彼は〝天の恵みです〟と、とても悦んでいた。