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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第6章 二人だけの祝言と涙の別離
「それは選択の中にはない。私が去るときは賢華も連れてゆく」
きっぱりと断じると、若い護衛官がやや声を低めた。
「引き返すなら今の中ですぞ。この方は今や殿下の婚約者であり、高麗の王妃となるべき女性です。そのような女性を殿下とあい争うなど、およそ正気の沙汰とも思えません。ホン内官、勤める部署は違えども、私はいつも有能で沈着なあなたを先輩として尊敬していたのです。そのあなたがこんな名もない場所で無駄死にするのは耐えられない。今、殿下に逆らえば、犬死にですぞ」
きっぱりと断じると、若い護衛官がやや声を低めた。
「引き返すなら今の中ですぞ。この方は今や殿下の婚約者であり、高麗の王妃となるべき女性です。そのような女性を殿下とあい争うなど、およそ正気の沙汰とも思えません。ホン内官、勤める部署は違えども、私はいつも有能で沈着なあなたを先輩として尊敬していたのです。そのあなたがこんな名もない場所で無駄死にするのは耐えられない。今、殿下に逆らえば、犬死にですぞ」