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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第9章 未練
賢がもし昔のように眩しい笑みを見せてくれるなら、玉座など誰にでもくれてやっても良い。美しい従姉の歓心を得るすべがあるなら、この国をあの老獪な古狐のような元国皇帝に国ごと差し出してくれてやっても良いとさえ思う。それほどに、賢を愛していた。
賢が男性化していたなら、万が一にも王座を奪うこともなく、自分は影にいて彼が王として政を行う助けとなっていた。賢が命じれば、王命一つで身の危険も顧みず大軍率いて元帝国と戦もしただろう。いつでも乾が優先するのは自分ではなく、賢であった。
賢が男性化していたなら、万が一にも王座を奪うこともなく、自分は影にいて彼が王として政を行う助けとなっていた。賢が命じれば、王命一つで身の危険も顧みず大軍率いて元帝国と戦もしただろう。いつでも乾が優先するのは自分ではなく、賢であった。