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さらに近くてもっと甘い
第9章 プール大会?

─────────…



「そうかもしれないです……。でも、こんな私でも、今幸せに仕事出来てるよって、それだけでも幸太郎くんに教えられたらなぁ…って…」


「幸太郎……?」


聞き慣れぬ男の名前に、要は思わず聞き返した。


「あ、はい。その新人君、原澤幸太郎って名前で……」



勝手に女だと思っていただけに、少しだけ要は動揺を見せる。


でも、男だからと言って、だ。別にとやかくいう事ではないし、仕事に過ぎない事……だ。




「田舎から出てきた子で…」


「まんまお前の男版だな」


「ホントにそんな感じで…。会って頂ければ分かりますきっと」



茶化したつもりだった光瑠は、加奈子の素直な返事にフッと鼻を鳴らす。



「面白そうだな……ぜひ今度会わせてよ」


「あ、はいっ…」



嬉しそうに微笑む加奈子を見て、要は緩く笑う。


いつも失敗ばかりで、落ち込んでいることが多い加奈子が、仕事の事を生き生きと話しているのは喜ばしいことだ。


それでも、少しだけ胸がざわついているのを、要は誤摩化すようにして、加奈子の横顔を見つめていた。



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