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さらに近くてもっと甘い
第16章 アイドルの交代
ひたすらに、「隼人が!」と嘆く真希を呆れた様子で見つめながらも、光瑠は再び優しく抱き締める。
「おい、落ち着け……何があった」
「可愛かった私の! 隼人がっ……」
「……だから、どうした」
話が中々進まない。
困っていると涙を拭った真希は、再び光瑠をじっと見つめた。
「最近学校のこととか自分のことを話してこないなと思って、聞いたんです…そしたらっ……」
「そしたら……?」
真希が拭っても滴る涙を光瑠は親指の腹で拭う。
そしてまるで子どもをあやすよう頭を撫でながら、そっと顔を覗き込む。
「『うるさい!!』ってっ…」
「……………は、あ」
「し、しかもっ……『お姉ちゃんには関係ない!』とか言うんですよっ…!」
再びポロポロと涙を流す真希を光瑠はすかさず抱き締める。
そして、優しく背中をさすりながら「そんなことか……」と言いかけたのを心の中にとどめた。
義理の弟である隼人ももう10歳。
そろそろ思春期の入り口で………
「色々と複雑な年齢になってきたんだろう」
「っ……そんなっ…だって…あの隼人ですよ!?」
あの隼人も、この隼人もないと思ったのだが、光瑠はここであまり刺激をしない方がいいと判断をして押し黙る。
誰よりも子どもだった光瑠も父親になって成長しているのである。
「きっとっ…私のことが嫌いになってっ……」
「……そんなわけないだろうが」
光瑠が優しくすればするほど、真希はしくしくと泣いていた。