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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
甘い囁きに思わずケホケホとむせた加奈子。
大丈夫…?と尋ねながら、要は胸が温かくなっていくのを感じた。
ドロドロと、嫌な気持ちで溢れていた自分が馬鹿らしくて……
そして…今、とてつもなく、彼女が恋しい───
「加奈子……」
「はいっ……」
電話越しで見えていなくても、ギュッと目を瞑って、精一杯に返事をしているのが分かる。
中々慣れてくれない彼女が愛らしくて気持ちが溢れる。
「久々に…加奈子のクッキーが食べたい」
「え……?」
「……ダメかな」
いつもはワガママを言わない要のそんな言葉に、加奈子はトクンと胸を鳴らす。
甘えてくれてる……?
そういう存在になれたらってずっと思っていた。
だから、些細なことでも嬉しい。
「ダメじゃないですっ……」
「─────」
「副社長のためなら…っ…私っ…100枚でも…200枚でもっ…いや、1000枚でも焼きますっ…!」
想像を超えた加奈子の返答に、要は軽く目を見開いたあと、クっと喉を鳴らして笑った。
「………ありがとう…」
「いえっ……」
「ただ……100くらいならいけるかもしれないけど、さすがに1000はきついかな」
「きっ、気持ちを示しただけです!」
少しだけムキになって言い返して来た加奈子に、要は再び楽しそうに笑っていた。