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放課後の狩猟者
第3章 # 亜湖&梨湖 [高1]
「梨湖、上手く出来る?ミスったりしたら…。分かってるよね?」

「大丈夫。今日は亜湖に負けないから」

 
 放課後、二人は繁華街の家電量販店にいた。

 俺は久し振りに無精髭を剃り、黒渕の眼鏡をかけ、一張羅の紺のスーツを身に纏って二人の後をつける。

 ネクタイ…苦しっ…。

 右手で襟元を少し緩めた。
 
 ドライヤーや、ヘアアイロンのコーナーに移動した二人。何やら挙動が不審だ。

 男の俺が、ヘアアイロン等を物色するのは尚更不審。

 少し離れたシェーバーのコーナーで、様子を窺った。

 気付かれないように…。

 スマホの動画を起動させる…。


「亜湖、見張っててよ?」

「分かってるって、それより早くやりな?ウロウロしてるだけで怪しまれちゃうんだから」

「そんなの分かってるよ…」

 
 その時、梨湖が陳列棚の下から商品の箱を一つ取り、自分のスクールバッグへと、忍ばせた。


 あーぁ、やりおった…。

 こんなセキュリティの難い店で、万引きが成功すると思てんのか?あの二人…。


 最近の、二人の素行を調査して分かった事がある。


 一つは、お互いに内緒で、同じ彼氏と付き合っていること。
 そしてもう一つは、時々こうして色んな店で万引きし、どちらが高額な物を盗んだかを競い、日頃のストレスを解消していること。

 今日の俺は、刑事。

 左の内ポケットの、偽造警察手帳を確認して、二人の背後にそっと近付いた。

「君達、何してるんや?」

 振り返って、俺を見上げる二人は、おもろいほど青ざめていた。 
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