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放課後の狩猟者
第3章 # 亜湖&梨湖 [高1]
「見てたで?君らのしてたこと」

「っ…梨湖!…」

 亜湖が梨湖に目配せすると、二人は手を繋いで走り出そうとした。

「ちょい待てや!」

 俺は二人の細い腕を掴み、グイッと二人を引き寄せると、ぶつかりそうな二人の頭の間に割り入った。

 他の客に怪しまれないよう、そっと二人の耳許に脅しをかける。

「こんなことして、逃げられると思てんのか?」

「やだっ!何もしてないよ!放してっ!」

「うぅっー…やめてよっ!」

 梨湖は今にも泣きそうだ。

「何もしてへんことないやろ?オラッ!」

 異変に気付いた小太りの男性店員が駆け寄り、少し退け腰で割って入ったが、明らかにオロオロしている。

「い、いかがされました?お客様?な、何かお困りでしょうか?」

 俺は、左の内ポケットから偽警察手帳を取り出し、チラリと、ほんの一瞬、翳して見せた。

 なんとも陳腐で、お粗末な造作なので、凝視させる訳にはいかない。

 ハッとして息を呑んだ三人は、動きを止めた。

 双子達は、ばつが悪そうに俯き、梨湖の方は涙ぐんでいた。男性店員は一歩後ろへ下がって、乱れてもいないエプロンを整えた。

「け、警察の方ですか?一体何が?」

 まんまと騙されてるやん。中々イケてる?この偽警察手帳。

「いえ、ちょっとこのお嬢さん達が悪さをしていたのでね?大丈夫です。私に任せてください。お店には被害はありませんので」

 俺はそう言って、梨湖の鞄から、盗もうとしたヘアアイロンと、亜湖の鞄からは数枚のCDを取り出し、店員に手渡した。

「え?ちょっと、これ…!ま、万引き?!…あの…ちょっと、まって…」

「確かにお返ししましたよ?この二人の処分は私に任せてください。では…」

 男性店員は動揺しながら、まだ何か言いたそうにしていたが、俺は二人の少女の腕を掴んで、店を出た。
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