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サイドストーリー8
第14章 好きと言って
「レンはいつも切なそうに梨乃ちゃんを見ていたわ。
そのしぐさと、視線が、梨乃ちゃんを好きで好きでたまらないって感じだった」
「・・・・」

「私を許せない顔で見て、梨乃ちゃんとハルトを応援してたのよね」
「・・・・」
「いつもじれったかった。梨乃ちゃんを奪えばいいのに。
そうしたらハルトが私のモノになるのにってずっと思ってた」
「・・・・」
「意気地無しだって思ってた」

「その通りだよ」

「違うわよ。私たちの中で1番大人だったのはレンよ。
梨乃ちゃんを1番に考えて。梨乃ちゃんをそっと見守って。
それがレンの愛なんだよね」

「でも、麻子にはばれてたんだろう?」

学生時代の青い思い出が照れくさくて
少しふざけた口調でいえば

「バレバレよ」

麻子は月の光に包まれてそう笑った。



 しのぶれど色に出にけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで

――恋心を誰にも知られないように秘めてきたが表情には出ていたらしい
    悩んでいるのかと人が尋ねる程に――
(百人一首 40)



END****


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