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未来なんていらない
第6章 6
私を抱く腕にますます力がはいって

息苦しいくらい


もうどっちの音だかわからないくらいに

心臓の音が頭のの中でひびいている


おでこにかかる熱い吐息で

そこから体がとけてしまいそう・・・



『もっとさあ、素直に言えばいいじゃん
 駄目ならだめ、不安なら不安ってさ』


また・・・そうやって・・・


『そんなこと言えないよ~
 誰よりもできないと
あそこにいられなくなっちゃうもん』



冗談めかしたつもりだったのに

声がかすれてそんな風には聞こえなかった



顔をあげることもできず

じっとしていた







『だれもそんなことおもっちゃねえよ』



ぐって体に力を入れる


やばい・・


泣きそう・・・





私は特別扱いっていわれたくないから



いつまでも『姫』でいたくないから



男の人に負けないくらい仕事をしなくちゃ・・・



そう思っている私を見透かしたように

『姫はほめ言葉だろ?』

っておでこにゆっくり優しいキスをくれた



その唇からつたわる安心感が

余計に私を弱くする



何かをいったりしたら



どうしようもなく泣いてしまいそうで




私は黙ったままぎゅって目を閉じた







『もう寝ろ、明日も頑張るんだろ?』

そう言ってアイツは電気を消した




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