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キミの体温 ボクの吐息
第2章 た
「女の子に人気があるわけだ」

さっきより楽しそうに笑う白石は
男にすっぽかされた痛みをほんの少し忘れてくれたようで

「俺の事はいいから。白石の気分が晴れるまで飲もうぜ」
「終電まであとどれぐらいかな」
「白石が大丈夫なら、時間は気にしなくていい」
「なんで・・・」
「タクシーで送るよ」

「・・・じゃぁ、このお店の閉店まで」

外の寒さが嘘のように心地いい温度の中で
ジンが飲みたいと長い髪を耳に掛けながら言った。

「了解」

ほんの小さく手を挙げると
中のバーテンがそばに寄ってきて
「ジントニックとヨコハマ」
そう言ってほどなくして来た
オレンジ色のカクテルと薄い黄色のカクテルに

「どっちがいい?」
「これは何?」
「ヨコハマって名前のカクテル。ジンとオレンジジュースだよ」
「へぇ。キレイ・・・」

白石は迷いながらもヨコハマを選んだ。

それからの会話は男の話は全く出ずに
同期さながらの、会社の軽い愚痴や、失敗話で
同期とはいえ、白石とこんなに話すのは初めてなのに
なぜか、話の波長が合った。

楽しい時間はあっという間で
午前2時を過ぎたころ
「ねぇ・・・ここの閉店って何時なの?」
少し困ったように耳元で小声で聞いてきた。

「朝の5時かな」
そんな様子が可愛くて
俺もそっと白石の耳元で呟いてみる。
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