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愛しい記憶
第14章 幸福
全ての記憶を取り戻した俺は、ゴミ箱を眺めて、破り捨てられた手紙を拾い上げた。
そして、もうこの世にはいないマミに…姉ちゃんに想いを馳せる。
うなじまでの短い黒い髪。
長めの前髪が斜めに流れる。
白くて細い手足。
二の腕の裏の火傷跡は、俺たちの愛の印──────
このままではいけないという思いに駆られていたのは、傍にいると約束した姉ちゃんが待っているから。
「ごめんね…姉ちゃん……」
もう誰もいないその部屋で、ぽつりと呟いた俺は、窓に手を当てて外を眺めた。
荒れた天気。
やっと、天が俺に味方をしている。