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緑に睡る 〜運命の森〜
第2章 第二の男
「…何があった…?坊ちゃん…」
意識を取り戻した紳一郎は温かな暖炉の前で背後からすっぽりと男に懐かれていた。
「…青山様に、何かされたのか…?」
紳一郎の身体がびくりと震える。
「正直に言ってくれ。…俺は怒ったりしないから」
長い沈黙ののち、紳一郎が小さな声で答えた。
「…青山さんに…キスをされた…」
紳一郎を抱く十市の腕に力が入る。
そして、次の言葉を苦しげに告げた。
「…キスをされて…僕は…感じてしまった…」
十市の腕の力は更に強くなる。
紳一郎の啜り泣きの声と共に熱い涙が十市の褐色の逞しい腕に零れ落ちた。
「…ごめん…十市…。僕は…君を裏切った…」
震える声が告白するのに、十市は紳一郎の髪を優しく撫で、そこにくちづけた。
「泣くな、坊ちゃん」
「…僕は…君を誰よりも愛しているのに…青山さんのキスを気持ちいいと思ってしまった。…僕はやっぱりあの淫らな母親の息子なんだ…!」
絞り出されるような苦しい言葉を止めさせようと、十市は紳一郎を振り向かせる。
「…泣くな、坊ちゃん。俺は怒ってなんかいない」
「…十市…でも…!」
彫りの深い美しいアメジスト色の瞳が優しく細められる。
「本当だ。俺の貌をよく見てくれ。嘘を吐いてはいないだろう?」
十市の貌には怒りの色も哀しみの色も浮かんではいなかった。
十市は幼い頃の紳一郎に言って聞かせるようにゆっくりと語り始めた。
「…もし青山様があんたに無理やり迫って、あんたが傷ついたなら俺は青山様を許さない。…必ず殺す。
…けれど、あんたが青山様がすることが嫌ではなかったのなら、俺はそれをそのまま受け入れる」
「十市!」
十市の節くれ立った手が愛おしげに紳一郎の白く端正な貌を撫でる。

「俺はあんたを愛しているから、そのまま受け入れる。あんたが俺を一番に愛してくれているのもよくわかっている。だから平気だ。あんたが裏切ったとも思わない。あんたはあんただ」
紳一郎の頬に新しい涙が伝う。
「…十市は…優しすぎる…お前は僕を罰していいんだ…」
十市の澄み切った美しい瞳が温かく微笑う。
「あんたを信じているから、俺は傷つかない。俺はどんなあんたでも愛する。…だから自分を…奥様を責めるのはやめてくれ」
堪え切れずに紳一郎は男の胸に縋り付く。
…大好きな優しい十市…
こんなに愛しているのに…なぜ…なぜ…僕は…
遣る瀬無い想いに紳一郎は唇を噛み締めた。
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