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この前、人を拾いました
第38章 ④―8.5 「ずっと前から、お嬢様にお仕えしております」
そして…そのまま…悪夢が現実になった。
礼二様が突然やってきて、「結婚式の日取りを決めたい」とそう言ってきたのだ。
麗子様と礼二様は近い未来結婚してしまう──
ガシャン――
カップが割れる音が四人しかいない部屋にこだまするように響いた。
「僕は、あなたと結婚したいんです。麗子さん……」
礼二様は甘くそう囁いて、麗子様にその美しい顔を近付ける。
目の前で愛する人が奪われようとしている。
それでも、“執事” という足かせのせいで私は何もできない。
見ていられなくて二人から目をそらし、悔しさにグッと両手を握った。
麗子様、愛しています──と再び心で叫びながら。