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この前、人を拾いました
第38章 ④―8.5 「ずっと前から、お嬢様にお仕えしております」
「麗子様………私もあなたを愛しています。」
心の中でだけだったら何度この言葉を叫んだだろう。
「瀧山…っ…」
大きな部屋で静かに抱き合う。
ずっと…
ずっと…
麗子様に触れたかった──…
そして今それが果たされた幸せと
なおも変わらない執事という身分に不幸を痛感する。
「しかし、私は麗子様の執事であることに変わりはありませんっ……。
あなたを幸せにすることはできない…あなたと私では、身分が違いすぎるっ…」
こんなに
幸せで
こんなに
苦しい日があるだろうか…。
やっと愛しい人を抱いたその腕を緩めながら、私は今までになく、自分の身分を呪った。