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この前、人を拾いました
第42章 ⑤―2 訪問という名の襲来



「ああぁああああ!!!!!!」



レイを払い除けてテレビに近付く。
急いで電源を入れるが割れた画面は真っ黒くなって、何も映らない。



一年前ボーナスで買ったいいテレビだったのにっ…



力が抜けて私はへなへなとその場にしゃがみこんだ。





「ハハハ!見てみろ!みきはお前よりテレビが心配らしいぞ!残念だったな!」



「うるさぁぁい!!だから、"兄"というやつは!!!」




私にお構い無しで再び争いを始めようとする二人。



どうして、私の周りには私をいたわってくれる人がいないわけ?


黒く滲んだ液晶画面を見ながらふつふつと怒りが込み上げてくる。




ああああもう!!!!




「うるさい!!!!!!!ちょっと黙ってよ!!!いつまでそうやって言い争ってんの!?私の身にもなれぇ!!」




はぁはぁと息を切らせながら二人の間に立つと、レイはムスッとしたまま黙り込み、お兄ちゃんは頭をガリガリと掻き始めた。




誰も言葉を発しなくなった部屋に、映らないテレビから音だけが虚しく鳴り響いていた。
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