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この前、人を拾いました
第43章 ⑤―3 草野祥平 そして 観覧車
2個年上のお兄ちゃんは、いつも私を侍らせて、
あれをやれ、みき!!
これをやれ、みき!!
と命令してくる。
身体も昔から大きくて力も強い。
成績は悪くないというレベル。
学校をサボったり、タバコを吸ったりとはいう不良とはまた違うのだが、よくケンカをしているようだった。
特に私が中学校に入ってからはひどくて、夜遅くに帰ってきては、私を叩き起こして、ケガの手当てをさせたりする。
嫌だったけど、嫌いだったわけじゃない。
ごくたまぁにだが、優しい時もあって、私はそんなお兄ちゃんを見るために嫌々ながらも従っていたのかもしれない。
お兄ちゃんは四年制の大学、私は短大だったので、ちょうど同じ年に卒業しお互い就職してしばらくし、ほぼ同時期に実家を出た。
そして、お兄ちゃんは今から2年前、華美さんという会社で知り合った年上の人と結婚した。
あのお兄ちゃんと結婚しようとするだなんて、どんだけMなんだろう…なんて思っていたが、いざ会ってみると華美さんはとてもさばさばしていて、それでいて芯のある人だった。
お兄ちゃんに振り回されるような感じではない。いや、振り回される所か上手くお兄ちゃんを扱っている、そんな印象をうけた。
しかも、華美さんは、いわゆる美人。
本当、あんなお兄ちゃんにはもったいないくらい素敵な人だ。