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この前、人を拾いました
第47章 ⑤―7 兄夫婦とクリームソーダ
「こんなやつどーでもいーだろがっ」
脇からお兄ちゃんの声が聞こえて、私は忘れかけていた目的を思い出した。
「何なんだよ、呼び出して」
レイとは反対に、とても機嫌が悪そうな声である。
「祥平が、私の話をいつも聞いてくれないから、聞いてもらおうと思って。」
「んだよ、お前が一方的にキレたんだろうが」
二人の空気がピリピリとしている中で、ズーズーとレイのクリームソーダをすする音がうるさく響く。
けれど、そんな音は二人には聞こえていないようだ。
「私はただ、勝手に決めないでほしかっただけよ!」
「勝手にって、お前言うけどな…これは栄転なんだぞ?俺はお前のことを思って仕事やってんだよ。それくらい毎日俺のことみてりゃわかんだろ」
「だから、そうじゃなくて…」
呆れたように溜め息をつきながら、華美さんが話し始める。
「何が違うんだよ!!!!大体お前最近おかしいぞ?!俺の知ってる華はそんなイライラしたりするようなやつじゃねぇよ!いつも飯だって一緒に食ってたのに最近は作ってないことだってあるじゃねぇか!」