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この前、人を拾いました
第49章 ⑤―9 昔。そして今。
「なんか………壁一面がテレビって感じだね…」
まさか、自分で壊したテレビをこんな形で取り戻すなんて…。
さすがレイというかなんというか…
はわぁぁああああと大きな口で欠伸をするレイ。
あのミラクル起こしたことのすごさより、それを別に何とも思ってない様子で呑気に欠伸をしていることに私は驚いていた。
「レイ、あんたほんとすごいよ。」
「んん?」
涙目で私を見るレイ。
あのあと、商店街の出口でお兄ちゃん夫婦と別れた。
お兄ちゃんはあんなにもレイと言い合っていたというのに、レイのミラクルを見てからはもう何も言えなくなっていた。
大きなテレビを背中に担いで挨拶もせずに家に帰ろうとするレイを見ながら、『あいつ、マジで色々やばいな』とお兄ちゃんが呟いたなぁ…。
────────変わってるって言うか何て言うか、不思議な力を感じる
不思議な力………確かにあるっちゃあるけど…。
ただ、変人なだけだと答えた私。
─────────俺が一緒に暮らしてても分からなかった華の妊娠を、こんなすぐ分かっちまうし…なんか、あいつ本当にすごい人の事見れるやつなんだな…
うーーん……
なんかちょっと勘違いしてるみたいだったけど…
──────────あいつなら、みきを任せられるかもな
──────────頑張れよ。
最初は耳を疑ったがお兄ちゃんたちはじゃあ、と言ってそのまま仲良く家に帰っていってしまった。