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この前、人を拾いました
第54章 ⑥―4 要注意人物…?
若村さん、待たせてるって言った……?
早口すぎてよく分からなかったけど確かにそう言ったよね?
一体誰を待たせてるんだろう。
尋ねようと思ったが若村さんが、とても早足だったのでついていくのが精一杯で、とてもそんな余裕がないまま、ある部屋の前までたどり着いてしまった。
ただ、ひたすら歩いていた若村さんはどうやら会議室らしいドアの前に着くとようやく私の方を見た。
「気を付けてくださいよ。なんかあったら僕が怒られるんですから。」
「え?あ、はい。」
状況が飲み込めないまま、ただ、流れでそう返事をすると若村さんはコンコンとドアをノックした。
若村さんがドアを開けたまま、私に入るように促したので、急いで部屋の中に入り頭を下げながら、失礼しますといい、ゆっくり顔を上げた。
「久しぶりですねぇ。」
「えっ…!?」
眩しいほどの笑顔を私に向ける彼。
そう、そこにはレイのお兄さん、総一さんがいた。
「そっ総一さん!?」
突然のことにビックリして身体が後ろによろけたのを若村さんが支えてくれた。
「おっと、みきさん、約束したじゃないですか、"総一"と呼ぶと。」
サラサラとなびく黒髪をかきあげる総一さんは、どうしたらそんなに色気でるわけ!?と突っ込まずにはいられないほど妖艶な雰囲気をまとっていて、私は、完全に引き込まれて言葉が出なくなってしまった。