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この前、人を拾いました
第57章 ⑥―7 26th Birthday
大きな身体からはいつもみたいなエネルギーを感じなかった。
ただ、悲しさと怒りが渦巻いてとてつもなく孤独感が漂っていた。
魅了されない人はいないほど整った容姿
由緒正しい華麗なる一族の血
伝説と謳われるほどずば抜けた頭脳
輝かしいほどの成功
普通じゃ一生かけても手に入れられないものを、こんなにも易々と手にしているレイ。
なのに
多くの人が持っている“母の愛” に飢えて、こんなにも苦しんでいる。
「今日がどういう日だか知っているのか……?」
今日は…12月25日──
「クリスマス?」
「………っ…」
「僕の誕生日?いいや、違う。今日は──」
「……レイのお母さんの命日……ね」
私の言葉に驚いたのか、クルリと身体の向けて、悲しそうな目で私を見つめた。
「っ……兄貴かっ!」
また眉をひそめて苛立つレイ。
その表情をみる事すら辛い。
「知っているなら…どうして祝おうとするんだ!!」
「っ……だって…」
今日は…
「今日はおめでたい日でもなんでもないっ…!たくさんの人に愛されていた、母が……僕のせいで死んだ日だ!!!!!!」
苦しそうにそう叫ぶレイを私は黙って見つめた。