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この前、人を拾いました
第58章 ⑥―8 新たな二人
「僕はまだまだできるぞーー!」
布団越しにレイの声が聞こえる。
「私は無理っ!」
恥ずかしくて顔すら出せない私の脇でレイの笑い声が聞こえていた。
全く…ちょっと弱ってたと思ったら、すぐ変態・変人回復しちゃうんだから… 。
「みきちゃん……」
グルリと身体を回転させられ目がバチっとあった。
「なにっ!」
恥ずかしさがまだ拭えずに私は目だけを出して布団を被った。
すると、レイは私のおでこを優しく撫でながら、ジッと私を見つめた。
「僕、生まれてきて、よかった…」
「っ……」
不意をつかれたせいで、言葉が出ず、ただ目頭が熱くなるのを感じた。
そんな私にレイは気付かず再び寝転んでしまった。
良かった…
幸せそうな顔をしているレイの横顔を見て、私も幸せな気持ちになった。
「さぁ!!ゆみちゃん!!そろそろ餓死警報だ…!!!!」
「……はいはい」
私は流れそうになった涙をレイに見えないように拭うと、服を着て冷蔵庫に向かった。