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この前、人を拾いました
第66章 ⑦―7 ヒーローは変態で変人で甘え上手



扉の向こうで、先ほどぶつかった男の子がぼんやりと立っているのが分かった。




「手応えがないなっ!!! 弱すぎるゾッ!! いやっ僕が強すぎるのかっ!! ハハハハハハハ!」



バタバタ倒れた男たちの山にムカつくほど長い足を乗せてレイは腕を組んでいた。



なんか…本当にドラマみたい…



感心すると同時に、ホッとしたせいか、涙がポロポロ出て止まらない。



笑ってないで…


早く…っ…

口と手の縄ほどいてよっ…




「さぁ…たえちゃんっ!」



ようやくクルリと振り返ったレイは、楽しそうに笑って私に近付いてきた。




屈んだレイは、私の肩を掴んだ。



なっ…なによっ…



強気でいようとするけど、やはり涙が止まらない。


レイが私を見放すからこんな目にあったんだからねっ…!


虚しさ、悲しさ、恐怖、安堵…


全てが入り交じってよく分からない。



そんな私をじっと見つめたレイは、何も言わずに手と口の縄をほどくと、優しく優しく私の事を抱き締めた。




「みきちゃん……」



いつもみたいに喚かない単純なレイの優しさに、罵倒する力もなくて、ただただ強く抱き締め返した。



「…っ……レイぃっ…こわかったっ……」
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