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この前、人を拾いました
第81章 ⑨ー3 別れは突然に、とは良く言ったもので
未だに、レイは私のことは見ない。
本当に何なの。
読めなすぎて腹が立つ。
ここは謝るところなんじゃないの?
『そんなこと言わないで』とかさ
『僕はさきちゃんがいないと生きていけない』とかさ
何でもいいよ。
なんかしゃべりなさいよ。
それとも、私たちはやっぱり───…?
私の方に向かってきたレイ。
じっとその瞳を見つめると、レイは私の脇を通り抜けて、そのまま部屋を去って行った。
え……?
何が起こったのか分からないまま、私は床に視線を落とした。
耳をすますと、ガチャと玄関の扉の音が聞こえて、目を見開く。
「っ……」
レイ……
なんでっ……
へなへなとその場に私がしゃがみこむと、その場の空気を感じ取ったのか、お兄ちゃんがテレビの電源を消した。