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この前、人を拾いました
第82章 ⑨ー4 少女漫画のようにはいかない

昔そのままの自分の部屋。


私はベッドに倒れ込む。



今これどういう状況なんだろ。


ひとしきり泣いたからか、なんだか謎にスカっとした気持ちだ。



お父さんもどっかいっちゃうし、レイもどっかに行ってしまった。


結婚の、挨拶にきたつもりだったのに、気付いたら実家で破局。



婚約者どころか、彼氏もいない女になっちゃったし。





「……しきり直し、なのかな…っ」





就職して上京するまで住んでいたこの地。


原点とも言える、この部屋の中で私はそんなことを思う。






「っ……意外と…クるなぁ……」


そんなことを呟きながら、また、涙が勝手に溢れる。



すると、微かにガチャと玄関の扉が開いた音がして、私は身体を起こした。


どっちだろう……


頰を伝う涙を乱暴に拭ったとき、『あら、お父さん』というお母さんの声が聞こえた。



お父さん……帰ってきたんだ…


ちらと時計を見たら、もう18時だった。


随分経った…


どこで何をしていたんだろう。

そして、レイは、どこで何をしているんだろう。




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