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この前、人を拾いました
第82章 ⑨ー4 少女漫画のようにはいかない
「いや…ちょっと違うな」
「え?」
「あ、いや、西園寺は変な男、という言葉では足りないくらい狂ったやつだと思うが」
シリアスな雰囲気で、すごいディすられているレイが、何だか笑えてくる。
まぁでも、それは否定出来ないわけだし…
「……変な男にお前をやりたくない以上に…お前を泣かすような男にお前をやりたくない」
「っ……」
いつにないお父さんの穏やかな話し方に、また、目頭が熱くなる。
「怒鳴りつけたのも、殴ったのも、少しやりすぎたかもしれない…」
でも、とお父さんは言葉を続けた。
「何も言わないで出ていくようなやつとは結婚するな」
「………」
確かにそうかも。
でも、本当にレイってそんな人だろうか…
─────────未来永劫が僕らのテーマだっっ!!
プロポーズされたときのレイの言葉が脳内で甦る。
新しく人生を仕切り直そうと言いながら、どこか期待している私。
そんなとき、ピンポーンと家の呼び鈴が響いた。
はーい!というお母さんの返事。
そしてその数秒後に響いたお母さんの悲鳴に、私とお父さんは顔を見合わせて、立ち上がった。
「なっ、なんだっ…!?」
「分かんないっ…」
急いで扉を開けると、「お邪魔します」という聞き覚えのある声が響いて、私はお父さんと共に階段を駆け下りた。