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この前、人を拾いました
第82章 ⑨ー4 少女漫画のようにはいかない
お父さんが、私の部屋に入るのなんて、何年振りだろう。

もう忘れてしまった。


それくらい昔のこと──



咳払いをしながら、お父さんは、私の机のイスを引いて腰掛けた。




「……おかえり……」




とりあえず話し掛けてみたら、お父さんは、あぁとそっけなく返事をした。


しばらく、沈黙が続く。

私は、謝った方がいいのだろうか。でも……何を?




「……さっきは突然飛び出してすまなかった」


「いやっ……んん…」




なんて言ったらいいんだろ……


分からなすぎて、目線も合わせられないまま。



「お母さんから、聞いた」


そのお父さんの言葉にさらに返す言葉がない。



「……お前は大事な娘だ」


「………っ…」


「だから、変な男にお前をやりたくない」


「……うん」


「西園寺は……なんて言うか…」


「変な男だね」




食い気味に返した私の言葉にお父さんが黙る。


少し沈黙があったあと、お父さんは足を組み替えた。



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