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この前、人を拾いました
第85章 ⑨—7 誰のお蔭で
「こっ、これはッ……」
お兄ちゃんがそう言いながら、レイが机の上に置いた時計を掴んだ。
「時計……?」
なーんか見覚えあんだよな……
首を捻っていると、お父さんが目を見開いて、お兄ちゃんからその時計を奪う。
あっ……もしかしてこの時計って…昨日お父さんが失くして不機嫌になっていたと噂の私があげた時計…!?
「っ……なぜっ…ど、どこにあったんだ!」
「………近くの…ウオンモールの、キッズスペースです」
「ウオンって……昨日お義父さんとお義母さんと私たちで行ったわよね…」
「あ……ああ…。そんで……お前と母さんが買い物に行っている間、俺と親父は美咲をキッズスペースで……」
「あっ!」
お兄ちゃんが思い出すように説明していると、お父さんが突然声を発した。
「そうだっ……あのとき、美咲が……俺の時計で遊びたがって……」
そう言いながら、お父さんが美咲ちゃんの方を見る。
それにつられてみんなが、美咲ちゃんのことを見た。
自分に注目が集まっているのが嬉しいからか、アハっと声をあげながら笑顔を見せる。
「きっと……そのまま美咲がどっかに隠したんだわ……」
はなさんは美咲ちゃんを抱えながらそう言った。